ガッツグリルin西新宿
実はラーメン以外も食ってんすよ。
すぐれた護麺官はすぐれた食生活を送るものだ。
肉、野菜、米。
身体を創るありがてえ存在。
菓子パンなんか食ってんじゃねえぞ。
このご時世でこの安さ。頭が下がります。
俺の中のリトルハギシンが頭を垂れる。
ガッツグリルはこの卓上調味料が素晴らしく、ご飯が進みまくる。
香味野菜ソース。
見た目はネギやニラの主張が強いが、味はセロリや柚子らしき柑橘系が全面に来る。
ごはんに合う。
辛子味噌。
別段辛くはないが、底に溜まった辛オイルが食欲をそそる。複雑な味わいだが、意外と舌に馴染む。
黒ガーリック。
黒ガーリック? 黒いかこれ。よくわからん。たぶん醤油漬け。でも醤油とニンニク。出合って何も無い訳が無く……。
そうこうしている間に注文した牛カルビ定食(850円。やしぃ)が到着。
多い。
ごはんが。
これ中盛りなのよね。
大盛り無料とのことだが、やばいやつだろう。中盛りでもお茶碗三杯分くらいある。
……腹がわんぱくわんぱくしてきたぜぇ〜〜〜ッ!
タレは甘めで日本人好みのやつ。すき。
肉は庶民的な歯ごたえ。親しみが湧く焼き加減。
脂がじゅわっと香ばしい。
時折香味野菜ソースてさっぱりリセット。
ふと周りを見ると、わんぱくアダルトたちが静かに黙々と飯を食らっている。
大盛りをぺろりと平らげるふとっちょ。
おかわりを決め込むビッグワン。
そのどれもが皆、紳士的かつゆうがな孤独さを湛えている。
……昼飯って、こうだよなぁ〜〜〜〜ッ!
夢中になりながらも、ゆっくり完食。
ここは支払いもpaypayいけるから神。ありがたすぎる。
さあ午後の仕事もぼにぼにやりますか。
吉村萬壱『クチュクチュバーン』を上辺だけ読んでほんとうのことを書く
これはアフィリエイトではなく適当に引っ張ってきたリンク。おれはまだAmazonアソシエイトの資格が無いから。
一周回っているのか、回っていないのか
小説創作界隈でこの数年有名になっている地方文学賞、「阿波しらさぎ文学賞」。
これの審査員が吉村萬壱氏だ。もう一人の方はよく覚えていない。→思い出した。小山田浩子さんだ。すみません6/18
あわしらはなんかこう、応募したくなる賞なので、筆がのったときに応募している。うまくいったことはない。
数年前から知っていたが著作を拝読したことなかった。さいきん、興が乗ったので読んでみることにした。
サラーーーーっ
サラサラサラ~っ!
ぐんぐんズンズン読めた。
上辺だけなぞって、最後まで読めた。楽な読書で心地よかった。重いかな?と思って食べたラーメンが存外あっさりだった感じ。
面白いとかではない。面白いかと言われたら面白くはない。ただ、読めば読むほど、タイミングをうまく外した失笑がやってくる。
ただ、おもちゃみたいなグロテスクがずっと続く。軽くてチープで、下劣というには薄すぎる。
もちろん、笑わすつもりなんて一切無いのはよくわかる。おれにはそう感じた。
きっとこの小説は何もうまく書こうとしておらず、いっさいをあるがままに捉えて軟便が出るかのようにするする流れるままに書いたんだろうな。
そういう嫌味のない自然さを感じた。
ゆるやかで滞りの無い読書だった。おれは自然なことが好きだから、たぶん好きなんだろう。
正直書く前は「こき下ろすようなこと書きそうだな」という感情状態だったんだが、いざ書くとそんなことなかった。クチュクチュバーンによって感情が整理されている。きっと、会議の前に読めば理路整然とした思考を得られるだろう。
なんかシマウマ男ならとか鳥人間が出てきて、中年女の直腸引っこ抜いて、もぐもぐシてる感じ。
自分が書いたらあまりのチープさに筆を止めて、少し自己嫌悪に陥ったあと、もうすこしポジティブなことをかんがえる。
そういう破棄すべき思考、唾棄されていく想念が、フィルターでこされずにまとまった文章になったら、こういう小説になるんだろうな。
でも、ラーメンのお供にはならないな。ざんねんながら。拉麺と一緒には読めない。それはこの小説の持つ明確な欠点だと思う。グロテスクさとかは関係なく。(というかこの作品にグロテスクさは無い)それは仕方のないことだ。
芥川賞の「ハリガネムシ」もちょっと気になった。機会があったら読んでみたい。
にぼ乃詩とかいう川越でいちばんあかんラーメン屋〈1麺吟目〉
煮干死にうってつけの日
人には肺があるように、川越にはにぼ乃詩がある。
どうも。上級護麺官ハギシン、もとい愛麺神楽覇儀です。
おれはこのお店に2018年のオープン時から一週間から二週間に一度のペースで通ってる。
このお店の美味しさを心からシェアしたく思う。
クセのつえぇ店主、クセつえぇ客、クセのつえぇラーメン。
ぜんぶ生きるのに必要な要素だ。
それらをすべて提供してくれるのがこのお店だ。そうだろ。
にぼ乃詩のこどもたち
おれは読みやすい文章とか分からない。美味しそうに聞こえないかもしれない。
それは君たちが判断してくれ。
今日食べたのは「大西阿修羅」っていう限定メニューだ。
大西の意味はよくわからねえ。
ごくごくたまに、店主の気が向いたときにやる「やり過ぎシリーズ(おれが勝手にそう言ってる)」だ。
にぼ乃詩のレギュラーメニューは「純煮干しラーメン」なんだけど、稀に作られるこれらやり過ぎシリーズには多くのファンがいる。
今日も十一時半のオープン時からたくさんの人が並んでいた。その時の写真はない。想像してくれ。
スープの色。
これ、分かる?
これ、魚のコーヒー。
おれはコーヒーを飲んでる。
そう思ったね。
苦味のあとから来る、海底由来の酸味。深煎りcoffee飲んでるようなコク。
あ、とうとう来たな、と。
ふぁーびよんざおーしゃんにぼし。
おれみたいに32で煮干しラーメンくってる煮干し野郎なんていねーか、はは。
照明のいろでよくわからんけど、ところどころ翠っぽい。藻のようなみどり。うおおおぉぉん、と圧が迫ってくる色彩をしている。
これがね、リビドーなんすわ。
リビドー色のプース。
具とか麺はもう頭に残んねえ。
おれは何してるんだ?
どこから来て、どこに流れるんだ?
まじまじとスープをじっと見ちまう。
負けたよ、と。
サバンナのライオンにも将棋で勝ったことあるおれだが、思わずサレンダー。
寒気のする旨さ。
周りのやつはみんな耐えきれずに発狂して死んでいった。スープを口に含んでクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュ。バアアアァァァァン。
おれだけだった。
おれだけしか生き残っていなかった。
店主が悪魔のような顔で一匙のグレーを差し出す。
「純煮干しのスープです」
これ、今飲んで、味がしますか? ハギシンさん、って言ってきた。
差し出された瞬間、脊髄反射でそれを飲む。
そして答えた。
「何の味もしません」
舌がイカれちまっていた。おれの舌は煮干しの悪魔に捧げられちまっていた。
「ですよね」
店主はデビルスマイルを湛え、厨房に戻っていった。
まとめ
いかがだったでしょうか。にぼ乃詩、とても美味しそうですね。みなさんも休日にはぜひお越し下さい。
ラーメンデータベースや食べログにも掲載がありますが、鹿のフンみたいなレビューが散見されますので、自分の舌でお確かめ下さい。